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蝙蝠山に吹く風は、

映画・ドラマ・アニメ・本の感想と福山市を中心にラーメン店巡り中

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村瀬修功監督作 劇場アニメ「虐殺器官」 世界が二つの世界に分かれた世の中を描いた作品

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原作の小説「虐殺器官」は作家伊藤計劃のデビュー作品である。伊藤計劃先生は、2009年に夭逝されてしまったが、相当な映画通であったらしい。デビュー作品が劇場で上映されることを喜んでいるのではないかと思う。

しかしこの劇場アニメの公開までの道のりは険しいものであった。

Project Itohとして「虐殺器官」「ハーモニー」「屍者の帝国」の三作が劇場アニメ化することが発表され、「ハーモニー」と「屍者の帝国」は無事公開されたが、「虐殺器官」公開はすんなりとは行かなかった。

まず2015年10月公開予定が同年11月予定に延期された。しかし制作会社であるマングローブが経営難に陥り2015年9月29日付で事業を停止。そのため同年10月には無期限延期することが発表された。その後ジュノスタジオに制作が引き継がれ2017年2月にようやく公開された劇場アニメである。

原作未読の状態で見てもはたして理解できるのだろうかと不安であったが、それでも楽しむことができた。一部できない部分もあったが逆にそこに注目して原作小説を読むことによってより理解できるのはないかと思う。

R15+作品なのでグロは多めである。突然頭が吹っ飛んだり人が肉塊になったりするので苦手な人は注意をしてください。

この劇場アニメ「虐殺器官」は近未来の高度な監視社会によってテロの無い安全な世界と内戦が発生し自国民同士虐殺を行う二つの世界に分かれた姿を描いている。

9.11で二つのビルが倒壊した瞬間から世界はそちらの方向に進んでいったという設定だ。現実世界では、ロンドンの500万台と言われる監視カメラによる監視が有名だ。あれをさらに発展させた世界を考えると想像しやすいと思われる。この世界では、個人認証システムが進みリアルタイムでどこに居るかがわかるようになっている。さらに紙幣も消え認証によって支払いが行われる。これはたしかにディストピアなのだろうけれどもその反対の世界で行われている内戦と虐殺を見ているとこのディストピアユートピアに見えてしまう。ピザを食べながらアメフトの試合を眺めることのできる世界のどこがディストピアなのだろうと思ってしまう。

近未来の戦闘シーンも見応えがあった。最初は攻殻機動隊のように電脳化と義体化されているのかと思ったがそうではなく、目にはコンタクトレンズ型のディスプレイを入れ痛覚マスキングと呼ばれる特殊な麻酔によって痛みを感じなくさせているようだ。さらにスーツが自動的に止血を行う。そうして頭部を飛ばされるか心臓が止まるまで永遠に戦い続ける兵士が誕生したようだ。

そんな兵士達が世界中で虐殺を引き起こしていると言われるジョン・ポールというアメリカ人を追って世界を飛び回り戦っていく映画だ。

雰囲気がMGS4と似ていると感じた。小島秀夫先生と伊藤計劃先生は仲がよかったということなので虐殺器官に影響を受けたのだろうか。

この映画の世界の機械の多くが人工筋肉と呼ばれるものを使っている。見た目はものすごく気持ち悪い。飛行機の主翼も内装もものすごく気持ち悪いものになっていた。小型の機械はMGS4の月光を思い出す姿であった。そして人工筋肉は実は人工ではなく可愛らしいあの動物の筋肉ということが判明する。

虐殺器官」は実写映画化も発表されている。この劇場アニメを超えられるかが不安であるが、先に実写「攻殻機動隊」が公開されるのでそちらが成功していればこちらも予想するほど悪いものにはならないのではないかと思う。

人は選ぶと思うけれども良い映画なので是非劇場で!